日本に生息するアブの種類|特徴・生態・刺されたときの症状と発生場所を徹底解説

日本に生息するアブの種類|特徴・生態・刺されたときの症状と発生場所を徹底解説

夏から秋にかけて、川沿いや山道、キャンプ場、牧場、田んぼの近くなどで「ブンブン」と大きな虫がまとわりついてくることがあります。ハチのように見えて、実は「アブ」だったというケースも少なくありません。

アブはハエの仲間に近い昆虫で、日本にも多くの種類が生息しています。すべてのアブが人を刺すわけではありませんが、吸血性のある種類のメスは、人や家畜の皮膚を傷つけて血を吸います。
蚊のように細い針で刺すのではなく、皮膚を切り裂くように吸血するため、刺された瞬間に強い痛みを感じやすいのが特徴です。

この記事では、日本に生息する代表的なアブの種類を中心に、見た目の特徴、生態、発生しやすい場所、刺された場合の症状、業者に相談すべきタイミングまで詳しく解説します。

目次

アブとはどんな虫?

アブは、ハエ目に属する昆虫の総称として使われることが多く、狭い意味ではアブ科の昆虫を指します。
日本には多くのアブ類が生息しており、その中でも人や家畜を刺すことで問題になりやすいのは、主に吸血性のアブです。

アブの成虫は、種類によって大きさや色が異なります。小型のものもいれば、体長2cmを超える大型種もいます。ハチのように見える種類もありますが、ハチのような毒針を持っているわけではありません。

ただし、吸血性のアブは口器で皮膚を傷つけ、にじみ出た血を吸います。そのため、刺された場所が赤く腫れたり、強いかゆみや痛みが続いたりすることがあります。

人を刺すのは主にメスのアブ
アブは、オスとメスで行動が異なります。
多くの種類では、オスは花の蜜や樹液などを吸って生活します。一方、メスは産卵に必要なたんぱく質を得るために、人や牛、馬、犬などの血を吸うことがあります。つまり、刺す可能性があるのは主にメスのアブです
アブは視覚が発達しており、動くもの、黒っぽいもの、体温、二酸化炭素などに反応して近づくとされています。車の周りにアブが集まることがあるのも、車体の熱や排気ガスに反応している可能性があります。

日本に生息する代表的なアブの種類

ウシアブ

アブの種類・ウシアブ

ウシアブは、日本でよく知られる大型のアブです。
体長は2cm前後になることがあり、がっしりとした体つきで、全体的に灰褐色から茶褐色に見えます。

名前のとおり、牛や馬などの家畜を吸血することが多い種類ですが、人を刺すこともあります。牧場、草地、山沿い、河川周辺などで見られやすく、夏場の屋外作業やレジャー中に遭遇することがあります。

ウシアブに刺されると、鋭い痛みを感じやすく、刺された部分が赤く腫れることがあります。家畜の周辺に多く集まるため、畜舎や牧場、動物を飼育している施設では注意が必要です。

アカウシアブ

アブの種類・アカウシアブ

アカウシアブは、赤褐色の体色が特徴的な大型のアブです。
ウシアブと同じく家畜や人を吸血することがあり、山地や湿地、牧場の周辺などで見られます。

体が大きいため、飛んでいるときの羽音も目立ちます。人の周囲をしつこく飛び回ることがあり、手で払っても何度も戻ってくることがあります。

専門業者の現場感覚としては、アカウシアブのような大型種は「1匹だけでもかなり目立つ」ため、建物周辺で複数見かける場合は、近くに湿地、用水路、草地、動物の飼育環境などがないかを確認することが大切です。

イヨシロオビアブ

アブの種類・イヨシロオビアブ

イヨシロオビアブは、夏の山間部や渓流沿いで被害が出やすいアブとして知られています。
黒っぽい体に白い帯状の模様が見られることがあり、地域によっては大量発生が問題になることもあります。

特に、キャンプ場、川遊び場、山道、渓流釣りのポイントなどで刺されるケースがあります。車や人にまとわりつくように飛ぶことがあり、屋外レジャー中には非常に厄介な存在です。

イヨシロオビアブは、単体で刺してくるだけでなく、場所によっては複数匹が一斉に寄ってくることがあります。夏の山間部で「車を降りた瞬間にアブが集まる」という場合は、このような吸血性アブが発生している可能性があります。

ヤマトアブ

アブの種類・ヤマトアブ

ヤマトアブは、日本に広く分布するアブの一種です。
湿地、水田、小川沿い、草地など、幼虫が育ちやすい湿った環境の周辺で見られることがあります。

成虫は夏に活動が目立ち、人や動物に近づくことがあります。卵は発生源に近い植物の葉などに産み付けられ、幼虫は湿った土壌や水辺の環境で育ちます。アブ類の幼虫期間は長いものが多く、種類によっては1年以上かけて成虫になることもあります。

ヤマトアブのように、発生源が水辺や湿地に関係する種類は、成虫だけを駆除しても周辺環境が変わらなければ毎年発生しやすい点に注意が必要です。

シロフアブ・メクラアブ類

アブの種類・シロフアブ・メクラアブ

シロフアブやメクラアブ類も、日本で見られるアブの仲間です。
種類によって体の模様や大きさは異なりますが、湿った環境や草地、水辺の近くで見つかることがあります。

アブの仲間は見た目だけで正確に種類を判断するのが難しい場合があります。害虫駆除の現場でも、利用者の方から「ハチのような虫」「大きなハエのような虫」「黒っぽくてしつこい虫」と相談されることが多く、写真や発生場所、刺された状況を合わせて判断します。

アブが発生しやすい時期

アブによる被害が増えるのは、主に6月から9月ごろです。
種類や地域によっては、春から見られるものや、秋口まで活動するものもいます。特に夏場は、キャンプ、川遊び、バーベキュー、釣り、登山、農作業などで人が屋外に出る機会が増えるため、刺される相談も増えやすくなります。

「毎年夏から秋に大量発生する」と言われるのは、アブの成虫の活動時期と、人が屋外で活動する時期が重なりやすいためです。

時期発生状況主な種類注意する場所
4月△ 一部で活動開始メクラアブ類草地・森林
5月○ 徐々に増えるメクラアブ類・シロフアブ類河川敷・湿地・農地
6月◎ 発生が本格化ウシアブ・ヤマトアブ・シロフアブ類河川・牧場・山林
7月★ 最盛期ウシアブ・アカウシアブ・ヤマトアブ・イヨシロオビアブキャンプ場・渓流・牧場・田んぼ
8月★ 最盛期・大量発生しやすいイヨシロオビアブ・ウシアブ・アカウシアブ山間部・渓流・草地・湿地
9月◎ 多く見られるイヨシロオビアブ・ヤマトアブ山林・河川・農地
10月△ 徐々に減少一部のアブ類暖かい地域の山林・草地
11〜3月× ほとんど見られない成虫の活動はほぼ終了

アブが発生しやすい場所

川・渓流・湖・沼の周辺

アブの被害が特に多いのが、水辺のレジャー施設や渓流沿いです。幼虫が湿った場所で育つ種類が多いため、川沿いや沼地、湿地帯では成虫も見られやすくなります。

川遊びや釣りの最中に、足元や腕、首まわりにアブが寄ってくることがあります。黒い服や濃い色の帽子を身につけていると目立ちやすくなるため、服装にも注意が必要です。

田んぼ・用水路・湿った草地

水田や用水路の周辺も、アブが発生しやすい環境です。草が伸びたままになっている場所や、常に湿っている土壌がある場所では、幼虫が育ちやすくなります。

農作業中に刺される場合、作業している人の体温や動き、汗、二酸化炭素に反応してアブが寄ってくることがあります。

牧場・畜舎・動物の飼育施設

ウシアブやアカウシアブのように、牛や馬などの大型動物を吸血する種類は、牧場や畜舎の周辺で問題になりやすいです。

家畜がいる場所では、アブの吸血被害によって動物が落ち着かなくなったり、ストレスを受けたりすることがあります。人だけでなく、ペットや飼育動物への被害も考える必要があります。

山林・キャンプ場・別荘地

山林やキャンプ場では、川や湿地、落ち葉が堆積した場所、湿った草地が近くにあることが多く、アブが発生しやすい条件がそろっています。

夏場に別荘やキャンプ場でアブが多い場合、建物そのものから発生しているというより、周囲の自然環境から飛来しているケースがほとんどです。

アブに刺された場合の症状
アブに刺された場合、次のような症状が出ることがあります。

  • 刺された瞬間の強い痛み
  • 赤み
  • 腫れ
  • かゆみ
  • 熱感
  • 出血
  • しこりのような腫れ
  • 掻き壊しによる化膿

蚊に刺されたときより痛みが強く、腫れも大きくなりやすい傾向があります。これは、アブが皮膚を切るように傷つけて吸血するためです。

刺された直後は、まず安全な場所へ移動し、患部を石けんと流水で洗い流します。その後、冷やして腫れや痛みを抑えましょう。かきむしると細菌が入り、二次感染を起こすおそれがあります。症状が強い場合や長引く場合は、皮膚科を受診してください。

アブへの基本対策

アブ対策では、「近づかせない」「刺されにくくする」「発生しやすい環境を減らす」の3つが大切です。

アブ対策

まず、屋外では白やベージュなど明るい色の服を選び、長袖・長ズボンを着用しましょう。肌の露出を減らすだけでも、刺されるリスクを下げられます。

虫よけ剤を使用する場合は、アブに効果が期待できる製品を選び、使用方法を守って使ってください。子どもやペットがいる場合は、成分や使用年齢、使用場所を必ず確認しましょう。

また、敷地内に水たまり、湿った草地、放置された落ち葉、ぬかるみがある場合は、できる範囲で環境を整えることも有効です。ただし、川や山林、田んぼなど周辺環境から飛来している場合は、家庭内の対策だけで完全に防ぐのは難しいことがあります。

アブに刺されやすい人・状況
アブは、次のような状況で寄ってきやすくなります。

  • 黒や紺など濃い色の服を着ている
  • 汗をかいている
  • 動いている
  • 車やバイクの近くにいる
  • 川や湿地の近くにいる
  • 半袖、半ズボン、サンダルで肌の露出が多い
  • 朝方や夕方に屋外で活動している

夏休みのお出かけ前にアブの対策ができているか確認をして楽しい時間を過ごしましょう!

アブに関するQ&A

アブとハチの違いは何ですか?

アブはハエの仲間に近い昆虫で、ハチのような毒針はありません。
吸血性のアブは口器で皮膚を傷つけて血を吸います。一方、ハチは毒針で刺すため、刺され方も被害の性質も異なります。見た目だけで判断しにくい場合は、無理に近づかないでください。

アブは秋にも出ますか?

種類や地域によっては、秋口まで見られることがあります。特に残暑が続く年や、山間部・水辺では9月ごろまで注意が必要です。

アブは黒い服に寄ってきますか?

アブは黒や濃い色に反応しやすいとされています。山や川、牧場などアブが多い場所へ行く場合は、白やベージュなど明るい色の服を選ぶとよいでしょう

市販の殺虫剤で駆除できますか?

目の前にいる成虫には効果が期待できる場合があります。ただし、屋外から次々に飛来している場合、殺虫剤だけで根本的に解決するのは難しいです。発生源や飛来経路、周辺環境の確認が重要です。

山田 太郎

この記事の作成者

野田 洸太

害虫害獣駆除センター 研究員

害虫・害獣の生態や効果的な忌避方法を専門に研究する害虫害獣駆除センターの研究員です。 本記事では、自社試験調査の結果や国内外の学術論文に基づくデータをもとに、 信頼性の高い情報をお届けしています。

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