火災保険で雨漏りは補償できる?補償対象から申請手順、注意点まで徹底解説!

- 火災保険について知りたい
- 火災保険がどんな時に補償可能か知りたい
- 災害によって家に損害が発生した
火災保険とは!?

火災保険は、住宅や家財がさまざまな災害・事故から受けた損害を補償してくれる保険してくれる保険です。
災害によって受けた損害・事故はもちろん、日常で起きてしまった事故からリフォーム中に起きた事故まで幅広く補償してくれます。
つまり、「偶発的に起きてしまった事故」からみなさんを守る保険なのです。
本記事では火災保険の基本的な情報から、家屋の修理を行う際の破傷の対象、雨漏り・屋根工事を火災保険で補償することができる事例、火災保険を申請する手順、注意点まで火災保険について詳しく解説しています。
火災保険で適応されるのは修理の場合のみ!
実は勘違いされがちですが、リフォームには火災保険が適応されません。
リフォームと修理の違いは以下の通りです。
- リフォーム
-
老朽化したものを作り直して、新築のような状態に戻す作業。
被害の大小に関わらず、機能性向上を目的にして、マイナスからプラスまで引き上げること。例)水漏れした配管のつなぎ直し、割れた窓ガラスの交換など
- 修理
-
故障や破損した部分を「元の状態に戻す」作業。
マイナスからゼロに戻すイメージ。例)キッチン・バスルームの全面改装、断熱材の追加、外壁・屋根の塗り替えなど
火災保険で補償されるのはリフォームではなく修理です。
非常に勘違いされやすい点ですが、プラスにするためでなくゼロに戻す修理が対象なので注意しましょう。
家屋の修理で火災保険が補償される対象とは?

家屋の修理で火災保険の補償を利用する場合、対象でないと補償を利用することはできません。
まずは火災保険がどのような場合に補償してくれるのか、対象を確認しましょう。
家屋の修理で使用できる補償対象
補償対象 | 補償内容 |
---|---|
火災 | 火事や貰い火による損害を補償。 |
落雷 | 落雷直撃による損害を補償。 |
爆発・破裂 | 電気配線のショートやガス爆発による損害を補償。 |
風災 | 台風などの強風による損害を補償。 |
雪災・雹災 | 雪や雹による損害を補償。 |
水災 | 台風や大雨などによる水が原因の損害を補償。 |
水濡れ | 給排水設備の事故に関連する水濡れ事故による損害を補償。 |
不測な物体の衝突 | 不測な破損による損害を補償。 |
保険会社によって契約内容やプランが大きく異なります。
すべてが必須の補償であったり、一部がオプションになっていることもあります。
オプションを減らせば保険内容を安くすることができる保険会社もあるので「これはいらないだろ・・・」とオプションを選んでないこともあるので、ご自身の契約内容を今一度確認しましょう。
地震の被害は地震保険で!!

地震による損害は、火災保険の補償対象外になります。
地震による損害を補償してくれるのは「地震保険」であり、火災保険とは別で加入する必要があります。
例えば
- 地震によって建物が倒壊・破損
- 地震が原因で火災が発生
- 地震や噴火による土砂災害
のような地震や噴火による損害を補償してくれます。
「地震によって瓦が割れて雨漏りしている・・・」
「地震によってスレート屋根が歪んでしまった・・・」
こういった地震で起きた雨漏りの被害の補償を受けるためには「地震保険」に加入する必要があります。
”南海トラフ地震”が噂されている昨今、万が一に備えて必ず加入しておくことをおすすめします。
火災保険が適応される雨漏り・屋根修理の事例を紹介!
ここでは弊社で対応した工事の中で、自然災害によって雨漏り・屋根工事に火災保険が適応された例を2つほど紹介いたします。
前提として火災保険の対象は修理が対象なので、経年劣化で発生した雨漏り修理は対象ではないという点には注意しましょう。
事例1:台風で棟板金が飛散したことによる雨漏り

発生状況
台風の強風により屋根の棟の板金が一部剥がれてしまったことにより、雨水が直接防水シートを伝って天井裏に浸入し雨漏りが発生。
補償対象
- 風災補償(台風)
補償修理内容
- 剥がれた棟板金の交換・取り付け
- 防水シートの張替え
- 軒天・天井裏の雨染み除去・補修
風速20メートル以上は注意!!
風速20メートル以上になると、暴風クラスと呼ばれ、風災が起きる可能性が高まります。
暴風クラスになると、外を歩くのも難しくなり、木々が大きく揺れ、看板や屋根瓦がはがれてしまいます。
非常に危険な状況であり、物が飛びかって、不測な物体の衝突が起こることもあるかもしれません。
風速20メートルを超えたら風災が起きやすくなりますので、風が止んだ次の日には何か損害がないか家の周りを確認してみましょう。
事例2:雹(ひょう)で瓦がひび割れたことによる雨漏り

発生状況
大粒の雹が直撃し、数枚の瓦に亀裂。ひびを通じて水が屋根裏に入り込み、断熱材が濡れて性能低下し、数日後雨漏りが発生。
補償対象
- 雹災補償(雹による損壊)
補償修理内容
- ひび割れ瓦の交換
- 防水下地の点検・補修
- 断熱材の乾燥または交換
- 天井裏の内装補修
事例3:強風で雨樋(雨どい)が歪んだことによる浸水跡の発生

発生状況
大雪や強風で軒先の雨樋(横樋)が外れ、屋根から流れる雨水が軒天に直撃。放置していたが1ヶ月後に雨どい下の軒天・外壁に浸水跡が発生を確認。
補償対象
- 水濡れ補償(風災補償の場合もあり)
補償修理内容
- 歪んだ雨樋の再取付・新品交換
- 軒天・外壁の腐食部分補修・塗装
- 雨樋支持金具の補強
工事中・工事後に事故があった場合にも補償してくれます!
火災保険は工事前の損害はもちろん、工事中・工事後の損害も補償してくれます。
例えば以下のような場合に補償することができます。
補償対象 | 補償内容 |
---|---|
工事中の火災 | ・電気配線の切り回しミスや溶接作業による火花が原因の火災 ・ガス器具の取り付け誤操作で発生した火災 |
工事後の火災 | リフォーム箇所から発生した不具合(断熱材近くでの配線ショートなど)が原因の火災 |
近隣への延焼 | リフォーム工事中の火災が隣家に飛び火した場合の対人・対物損害 |
消火活動による二次被害 | 消火用水や消火器の噴霧で、床や壁が水濡れダメージを受けた場合 |
これらは保険証券の「火災」補償や「破裂・爆発」補償、そして「消火活動による水濡れ」補償でカバーされます。
ただし、工事内容やタイミングによっては“通知義務”を果たしていないと補償対象外になることがあるため、必ず事前に保険会社へ連絡しましょう。
申請する手順
火災保険の請求は契約者本人が行うのが一般的です。
手続きは比較的簡単ですので、ここでは保険金申請の手順を紹介します。
契約や着工は、保険金支払いの可否決定が済んだ後に行います。
また、申請に必要な書類は保険会社によって異なりますので、保険会社に連絡し詳細を確認しましょう。
- 連絡先の確認
保険証券にある事故受付窓口へ24時間以内に電話またはWEBで報告。 - 伝える内容
証券番号、契約者名、事故発生日、被害概要。
損傷部の全体像と詳細を、スマホやカメラで複数アングルから撮影。
日時がわかるメモや現場日誌も残すと◎。
- 事故報告書・保険金請求書
保険会社から送付される書式を入手・記入。 - 証拠資料
被害写真、消防・警察の届出証明(火災の場合)、被害前の状態がわかる図面や写真。 - その他必要資料
会社ごとに異なりますので必ず確認。
- 査定員の訪問
保険会社または提携調査会社が現地で損害状況や範囲を確認。見積りや写真と照合を行います。 - 追加資料依頼
不明点があれば、追加で見積書や施工前写真の提出要請が来ることも。
- 支払決定通知
支払額や条件(免責金額、自己負担分)が記載された「保険金支払決定通知書」を受領。 - 口座登録
通知内容を確認後、指定口座へ保険金が振り込まれます。
- 工事契約
保険金を考慮した自己負担額で施工業者と正式契約。 - 事前通知(再確認)
保険会社へ工事開始日・期間・業者名を再度通知(工事特約がある場合)。 - 工事記録
着工前・中・完了後の写真や作業日誌をきちんと残す。基本的に施工会社が撮影してくれます。
火災保険の補償を受ける際の6つの注意点
火災保険の補償を受ける際の注意点を6個紹介します。
- 経年劣化により老朽化した住宅は補償対象外!
- 補償内容に不足がないか確認!
- 保険金の申請は原則としてご自身で申請する
- サポートを謳う悪徳業者に注意する
- 3年以内に必ず申請を!
- 免責金額の金額設定を見直そう!
経年劣化により老朽化した住宅は補償対象外!
先述した通り、補償対象になるのは、「偶発的に起きてしまった事故」です。
そのことからも分かるように、日差しや湿気などによる経年劣化の破損や消耗は火災保険の対象外です。
例えば、留め具が錆びたことによって雨樋が外れたことによる水シミ被害、古いフローリングの破損、外壁の至る所にクラック(ひび)が入っていたなど、災害に影響なく経年劣化が原因で起きた損害は火災保険では補償してくれません。
補償内容に不足がないか確認!
先述した通り、火災保険の補償対象は、自分で選択して保険料を調整できるという会社もあります。
例えばソニー損保の火災保険は必須付帯が火災、落雷、爆発・破裂の3種のみで、その他の補償はすべて選択する必要があります。
オプションを減らせば保険内容を安くすることができるので
「これはいらないだろ・・・」
とオプションを選んでないこともあるので、ご自身の契約内容を今一度確認しましょう。
保険金の申請は原則としてご自身で申請する
火災保険の申請やご請求はご自身で申請しましょう。
住宅周りの保険や補助金などの申請は施工業者にやってもらうことが多いため、勘違いしがちです。
前の段落にて申請の手順を解説していますので、ぜひご参考ください。
サポートを謳う悪徳業者に注意する
火災保険の悪徳なサポート業者に気をつけましょう。
住宅修理などに関して「保険金が使用できる」と謳う業者とのトラブルの相談をごくたまにいただいております。
補償の申請やご請求はは先述した通り、ご自身で行います。そのため、火災保険の一環の手続きの中で手数料を負担することはありません。
しかし、悪徳な業者は保険金の何%をいただける代わりに、申請をすべて代行するといい、高額な報酬を要求されます。
「私たちでないとできない」「私たちに任せればより多くの保険料を取れる」などと嘘を謳い私たちを騙してきます。
受け取った保険金から手数料を支払ったために必要な修理ができなかったなどのトラブルを数多く確認しています。
おかしいと感じたら、怪しい業者と契約を行うまえに、ご加入の保険会社・保険代理店に連絡して確認しましょう。
3年以内に必ず申請を!
「損害保険契約に基づく保険金請求権は、保険事故が発生した時から3年で時効にかかる」(保険法 第95条)
保険金(保険給付)の請求権には、法律で時効が定められており、リフォーム中・事故発生後の請求は原則として 3年以内 に行わないと権利が消えてしまいます。
被害状況の保険会社による査定・現地調査が終わると申請が完了ということになり、この査定・現地調査までを3年以内に行う必要があります。
保険会社によっては24時間〜数日以内に報告する必要があると規定が定められている場合もあるため、事故があった際は早急に手続きを進めましょう。
免責金額の金額設定を見直そう!
火災保険の保険金を受取る際に、契約者が自己負担する金額のことをいいます。
免責金額は基本的に0円〜数万円で選択肢の中から選ぶことができるのが一般的です。
免責金額によって年間の保険料は変動しますが、免責金額を高くすると小規模の修理では自己負担額が大きく感じるため、免責金額はなるべく低く設定することをおすすめします。
火災保険の役割
火災保険に加入することで、単に「火事のときに助かる」以上の多くのメリットがあります。
ここでは主要なポイントを掘り下げてご紹介します。
- 大規模な復旧費用をカバーできる
工事中・完成後を問わず、火災や爆発、落雷などで建物が大きく損傷した場合、自己負担だけでは数百万円〜数千万円の修復費用がかかることも少なくありません。火災保険に入っていれば、これらの費用を保険金でまかなえるため、家計へのダメージを大幅に軽減できます。 - 近隣住民への賠償リスクを軽減
火災や延焼、消火活動の二次被害などが原因で、隣家や通行人に損害を与えた場合、対人・対物賠償責任が発生します。火災保険にはこうした第三者への賠償も含まれるため、高額な賠償金を支払う心配がなくなります。 - 住宅ローン・融資契約、賃貸契約の条件を満たす
多くの金融機関では、住宅ローンの融資実行前に火災保険加入を必須としています。保険証券を提出しないと融資が受けられないため、ローン契約をスムーズに進めるためにも欠かせません。 - 修理費用の資金計画が立てやすい
突発的な損害に備え、いざというときにまとまった自己資金を用意するのは大変です。保険料は月々や年払いで一定なので、急な出費リスクを保険料に転嫁し、長期的な資金計画を立てやすくなります。 - 精神的な安心感を得られる
「万が一のときにどうしよう…」という不安は大きなストレス要因です。火災保険に加入しておけば、トラブル発生時にも冷静に対応でき、日々の暮らしを安心して過ごせます。
参考資料・ページ
下記は国(国土交通省・金融庁)や損害保険料率算出機構が公開している参考資料・ページです。
もっともっと詳細なことを知りたい場合は下記のページをご参考ください。
- 火災保険水災料率に関する有識者懇談会(金融庁)
火災保険の料率設定や水災リスクの細分化に関する報告書を掲載。保険制度の仕組みを深く知るのに役立ちます。 金融庁 - 火災保険参考純率改定のご案内(損害保険料率算出機構)
都道府県別・水災等級別の保険料率改定情報をPDFで提供しています。 損害保険料率算出機構 - 火災保険との連携による住宅維持管理事業協議会(国土交通省)
火災保険と住宅維持管理を組み合わせた先導型/普及型事業の概要です。 住宅ストック維持・向上促進事業
まとめ
火災保険は、災害や事故などが原因で起こってしまった「偶発的に起きてしまった事故」からみなさんを守る保険です。雨漏り・屋根修理などはもちろん様々な家屋の修理や日常での事故で補償を受けることができます。
また。工事に関係する偶発的な事故にも補償してくれるという非常に万能な保険です。
雨漏り修理で火災保険の補償を受けれるかどうかの事例も紹介しておりますのでぜひご覧ください。
また、今回紹介した6つの注意点について正しく理解しておくことで、火災保険をうまく活用することができると思いますので必ず確認しておきましょう。
火災保険は会社によって規則が大きく異なるかつ難しいため注意すべき点が多くあります。
詳しい補償対象や申請の方法は保険会社や加入しているプランによって、今回紹介した内容とは異なることがありますので、まずは保険会社や保険代理店に相談することをおすすめします。
参考記事


