
はじめに
春から秋にかけて、山やキャンプ場、公園、河川敷などで注意したいのが「マダニ」です。マダニと聞くと、「山奥にいる虫」というイメージを持つ方も多いかもしれません。
しかし実際には、草むらや雑草が多い場所、公園の茂み、犬の散歩コースなど、私たちの身近な場所にも潜んでいることがあります。
マダニは人や犬、猫などの動物に付着し、吸血するダニの仲間です。
咬まれるとかゆみや腫れが出るだけでなく、まれに感染症につながることもあるため、外出前後の対策が大切です。
春〜秋はマダニに注意したい季節

マダニは一年中まったくいないわけではありませんが、特に注意したいのは春から秋にかけてです。
気温が上がり、草木が生い茂る季節になると、マダニが活動しやすくなります。
「虫刺されの一種」と軽く考えてしまいがちですが、マダニは一般的な蚊や小さなダニとは性質が異なります。
屋外で活動する機会が増える時期こそ、事前の予防と帰宅後の確認が重要です。
マダニはどんな生き物?一般的なダニとの違い
マダニは、家庭内の布団やカーペットなどにいる小さなダニとは異なる生き物です。
家の中に多いダニは、肉眼では見えにくいほど小さいものが多く、ホコリや湿気、寝具などと関係して発生しやすい傾向があります。
一方、マダニは草むらや藪、山林など屋外に生息しており、人や動物に付着して吸血する特徴があります。
マダニは成長段階によって大きさが異なりますが、種類や吸血の状態によっては肉眼で確認できるサイズになることもあります。
そのため、マダニ対策では「家の中のダニ対策」とは別に、屋外活動時の服装や帰宅後のチェックが重要になります。
なぜ春〜秋にマダニ被害が増えやすいのか
春から秋にかけてマダニに注意が必要な理由は、主に3つあります。
1つ目は、気温や湿度が上がり、マダニが活動しやすくなるためです。
暖かい時期は草木も伸びやすく、マダニが潜みやすい環境が増えていきます。
2つ目は、人の外出が増えることです。
キャンプ、登山、ハイキング、川遊び、公園遊びなど、草むらや自然の多い場所へ出かける機会が多くなります。
3つ目は、犬の散歩やペットとの外出が増えやすいことです。
犬は人よりも草むらに顔や体を近づける機会が多いため、マダニが付着するリスクがあります。
特に茂み、雑草の多い道、河川敷、土手などを散歩コースにしている場合は注意が必要です。
マダニはどこにいる?注意したい場所

マダニは、山や森林だけにいるわけではありません。
草が伸びている場所や、野生動物が通る場所、人やペットが入りやすい緑地にも潜んでいることがあります。
草むら・河川敷・キャンプ場
マダニが潜みやすい代表的な場所が、草むらや河川敷、キャンプ場です。
これらの場所は草木が多く、野生動物が通ることもあります。
マダニは草の先端などで人や動物が近づくのを待ち、体や衣服に付着することがあります。
キャンプやバーベキューでは、長時間屋外にいることが多く、座ったり荷物を地面に置いたりする機会も増えます。
気づかないうちに衣類やバッグ、靴にマダニが付着することもあるため、帰宅後の確認が大切です。
公園や住宅近くの雑草エリア
マダニは自然豊かな山林だけでなく、公園や住宅近くの雑草エリアにも潜んでいる可能性があります。
特に、草刈りがされていない場所、植え込みの奥、遊歩道の脇、日陰で湿気が残りやすい場所などは注意が必要です。
子どもが公園で遊ぶときや、ペットが茂みに入るときには、肌や被毛にマダニが付着する可能性があります。
住宅の庭や空き地、家の裏手に雑草が多い場合も油断できません。
人が頻繁に入らない場所ほど草が伸びやすく、虫が潜みやすい環境になりやすいです。
犬の散歩コースや土手・茂み
犬の散歩コースにも、マダニが潜みやすい場所があります。
たとえば、以下のような場所は注意したいポイントです。
- 草が伸びた道端
- 河川敷や土手
- 公園の茂み
- 植え込みの周辺
- 山道や林道
- 雑草の多い空き地の近く
犬はにおいを嗅ぐために草むらへ顔を近づけたり、体を茂みにこすったりすることがあります。
その際に、耳、首まわり、足、お腹、しっぽ付近などにマダニが付着することがあります。
マダニに咬まれるとどうなる?

マダニに咬まれた場合、すぐに強い痛みを感じるとは限りません。
そのため、咬まれていることに気づかないまま時間が経ってしまうこともあります。
マダニは皮膚にしっかり付着して吸血するため、無理に引き抜くと口器の一部が皮膚に残ってしまうおそれがあります。
見つけたときは、慌てて取ろうとしないことが大切です。
人に現れることがある症状
マダニに咬まれた後、人に現れることがある症状には、以下のようなものがあります。
- 赤み
- 腫れ
- かゆみ
- 痛み
- 発熱
- 倦怠感
- 頭痛吐き気や下痢などの体調不良
ただし、症状の出方には個人差があります。
咬まれた部分だけに反応が出る場合もあれば、発熱やだるさなど全身症状が出ることもあります。
特に、マダニに咬まれた後に発熱、強い倦怠感、消化器症状などが出た場合は、早めに医療機関を受診しましょう。
受診時には「いつ、どこで、マダニに咬まれた可能性があるか」を伝えると診察の参考になります。
SFTSなど感染症のリスクもある
マダニで注意したいのが、感染症のリスクです。
マダニに咬まれたからといって、必ず感染症になるわけではありません。
また、すべてのマダニが病原体を持っているわけでもありません。
しかし、マダニが媒介する感染症の中には、重症化する可能性があるものもあります。
その代表例のひとつが、SFTS、つまり重症熱性血小板減少症候群です。
SFTSは、主にウイルスを保有するマダニに咬まれることで感染することがある病気です。
発熱、倦怠感、食欲不振、吐き気、下痢、腹痛などの症状が出ることがあり、重症化するケースもあります。
過度に怖がりすぎる必要はありませんが、「マダニはただの虫刺されでは済まないこともある」と理解し、予防を徹底することが大切です。
SFTSは、主にSFTSウイルスを保有するマダニに咬まれることで感染することがある病気です。 マダニに咬まれた後、すぐに症状が出るとは限らず、6日〜2週間程度の潜伏期間を経て体調不良が現れる場合があります。
- 発熱
- 強いだるさ
- 食欲不振
- 吐き気・嘔吐
- 下痢・腹痛
- 頭痛
- 筋肉痛
- リンパ節の腫れ
- 意識がぼんやりする
- 皮下出血や出血症状
- 高熱が続く
- ぐったりして動けない
- 下痢や嘔吐が強い
- 食事や水分が取れない
- マダニに咬まれた心当たりがある
※受診時は「いつ・どこでマダニに咬まれた可能性があるか」「キャンプ・登山・草むら・犬の散歩などの行動歴」を伝えると診察の参考になります。
犬や猫への影響
マダニは人だけでなく、犬や猫にも付着します。
犬や猫にマダニが付くと、吸血による皮膚トラブルや体調不良につながることがあります。
ペットの体にマダニが付いていても、毛に隠れて見つけにくいことがあるため、散歩後や外出後のチェックが欠かせません。
マダニが付いているのを見つけた場合は、無理に取らず、動物病院に相談するのが安心です。
特に、体調の変化がある場合や、マダニが皮膚に食い込んでいる場合は早めに受診しましょう。
人とペットを守るマダニ対策

マダニ対策で大切なのは、「付着させないこと」と「早く気づくこと」です。
完全に避けることは難しくても、服装や虫よけ、帰宅後の確認を徹底することで、リスクを下げることができます。
人とペットでは確認するポイントが少し異なるため、それぞれに合った対策を行いましょう。
草むらでは肌の露出を減らす
草むらや藪、キャンプ場、河川敷などに入るときは、肌の露出をできるだけ減らしましょう。
おすすめの服装は以下のとおりです。
- 長袖・長ズボン
- 帽子
- 足をしっかり覆う靴
- 必要に応じて手袋
- 首元を守るタオル
ズボンの裾を靴下や長靴の中に入れると、足元からマダニが入り込むのを防ぎやすくなります。
また、サンダルや短パンなど肌が出やすい服装は、草むらに入る場面では避けた方が安心です。
服の色は、白やベージュなど明るい色を選ぶと、マダニが付着したときに見つけやすくなります。
虫よけスプレーを活用する
屋外活動時には、虫よけスプレーの活用も有効です。
マダニ対策では、ディートやイカリジンなどの成分を含む虫よけ剤が使われることがあります。
使用する際は、商品の説明を確認し、対象年齢や使用回数、使用できる部位を守ることが大切です。
特に子どもに使う場合や、ペットと一緒に出かける場合は、人用・ペット用を混同しないよう注意しましょう。
人用の虫よけ剤をそのまま犬や猫に使用するのは避け、ペットには動物病院で相談したうえで適切な予防薬や対策を選ぶことが大切です。
ペットは散歩後のブラッシングと予防薬が大切
犬や猫を守るためには、日頃のチェックと予防が大切です。
特に犬は、散歩中に草むらへ入ったり、地面に顔を近づけたりするため、マダニが付きやすい場面があります。
散歩後はブラッシングをしながら、体に小さな異物が付いていないか確認しましょう。
また、マダニ対策用の予防薬については、動物病院で相談するのがおすすめです。
ペットの年齢、体重、健康状態、生活環境によって適した予防方法は異なります。
自己判断で市販品を使うよりも、獣医師に相談したうえで選ぶと安心です。
散歩後に確認したいポイント
犬や猫の体を確認するときは、マダニが付きやすい場所を重点的にチェックしましょう。 毛が長い犬や猫はマダニが隠れやすいため、手で毛をかき分けながら確認することが大切です。
もしマダニを見つけたら?
マダニを見つけると、すぐに取りたくなるかもしれません。
しかし、吸血中のマダニを無理に引き抜くのは避けましょう。
マダニは皮膚にしっかり咬みついていることがあり、強く引っ張ると口器が皮膚の中に残ってしまうことがあります。また、つぶしたり、刺激したりすることで、体液が付着するおそれもあります。
見つけたときは落ち着いて、正しい方法で対処することが大切です。
体調に異変があれば病院へ
マダニに咬まれた後、数日からしばらくして体調に異変が出ることがあります。
発熱、強いだるさ、食欲不振、吐き気、下痢、腹痛、頭痛などがある場合は、早めに医療機関を受診してください。
「少し体調が悪いだけ」と自己判断せず、マダニに咬まれた可能性があることを医師に伝えることが大切です。
ペットの場合も同じです。
マダニが付いていた後に、元気がない、食欲が落ちた、発熱している、ぐったりしているなどの異変があれば、動物病院に相談しましょう。
人は皮膚科や内科へ、ペットは動物病院へ相談するのが基本です。
マダニに関するよくある質問(FAQ)
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マダニはどこに多くいますか?
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マダニは、草むら・藪・河川敷・キャンプ場・山林など、草木が多い場所に潜んでいることがあります。
山奥だけでなく、公園や住宅近くの雑草エリア、犬の散歩コース、土手などにもいる可能性があるため、身近な場所でも注意が必要です。
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マダニは犬の散歩中にも付くことがありますか?
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はい、犬の散歩中にマダニが付くことがあります。
特に、草むら・茂み・河川敷・土手・雑草が多い道を歩いた後は注意しましょう。
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マダニを見つけたら自分で取ってもいいですか?
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皮膚にしっかり食い込んでいるマダニを、無理に引き抜くのは避けましょう。
口器の一部が皮膚に残ったり、皮膚トラブルにつながったりするおそれがあります。人の場合は皮膚科などの医療機関へ、犬や猫の場合は動物病院へ相談するのが安心です。
まとめ

マダニは、山や森林だけでなく、公園、河川敷、草むら、犬の散歩コースなど、身近な場所にも潜んでいることがあります。
特に春から秋にかけては活動が盛んになりやすく、人やペットが屋外で過ごす機会も増えるため注意が必要です。
犬や猫の場合は、散歩後のブラッシングや体のチェック、動物病院での予防薬の相談も大切です。
もしマダニが皮膚に食い込んでいるのを見つけた場合は、無理に取ろうとせず、人は医療機関へ、ペットは動物病院へ相談してください。
日頃から外出前後の対策を習慣にして、自分自身と大切なペットをマダニ被害から守りましょう。
