
はじめに
キョンという動物をご存じですか?
小さなシカのような見た目をしていますが、実は近年、千葉県や伊豆大島を中心に増えている外来生物で、住宅地にも出没する“害獣”として問題視されています。
庭木や家庭菜園を食べられてしまう被害が多発しており、繁殖力が非常に高く、いったん住み着くと短期間で被害が広がるのがキョンの特徴です。
この記事では、キョンの生態・被害・対策をわかりやすく解説し、戸建て住宅でできる予防方法をご紹介します。
キョンとはどんな動物?

キョンは、中国南部や台湾を原産とする小型のシカの仲間です。体が小さく俊敏で、繁殖力が非常に高いことから、近年日本の各地で急速に増えている外来生物として注目されています。
もともとは観賞用や研究用として日本に持ち込まれましたが、1960年代〜1980年代に動物園や飼育施設から逃げ出した個体が野生化。
特に千葉県房総半島・東京都伊豆大島では定着が進み、現在では地域住民の生活や生態系に大きな影響を与える害獣として問題視されているのです。
キョンの特徴 小型で愛らしい見た目だが“害獣”?
キョンは見た目が可愛らしく、パッと見では「小さなシカ」のように見えます。
しかし、その生態を知ると、住宅地や農地にとって無視できない存在であることがわかります。
キョンの体長は、70cm前後で、体重10kgほどとシカ類の中ではかなり小型で、つぶらな瞳と丸みのあるフォルムが特徴的です。
パッと見は「小ジカ」のような愛らしさがありますが、その印象とは裏腹に、日本では農作物被害や庭木の食害を招く害獣として問題になっています。
繁殖力が非常に高く、年に1〜2回出産ができるうえ、天敵がほとんどいないため、一度定着するとあっという間に数が増えてしまうのも大きな課題です。
さらに、キョンは警戒心が薄く、住宅地や人の生活圏にも出没しやすいため、「見かけた時は可愛いのに、実際は厄介」というギャップが起こりやすい動物です。
現在では、特定外来生物に指定され、捕獲や管理が急務の対象になっています。
| 項目 | 特徴 |
|---|---|
| 分類 | シカ科・キョン属(外来生物) |
| 体長 | 約70〜100cm |
| 体高 | 約40cm(中型犬ほど) |
| 体重 | 約8〜12kg |
| 毛色 | 茶褐色〜赤褐色 |
| 性別による違い | オスのみ短い角と長い犬歯(牙)を持つ |
| 行動 | 単独行動が多く、藪や茂みに身を潜める |
| 鳴き声 | 甲高い声、悲鳴のように聞こえることも |
| 活動時間 | 薄明薄暮性(早朝・夕方に活動が活発) |
キョンの生態と行動パターン
キョンは主に夜行性で、早朝から夕方にも行動が活発になります。
群れを作らず、基本的には単独で生活するため、気づかないうちに庭先や畑に入り込み、植物を食べてしまうことが多い動物です。
食生は草食で、シダ類、樹木の若芽、農作物、庭木の新芽などを好んで食べ、特に柔らかい葉や芽を選んで食べるため、庭木や農作物への被害が目立ちます。
また、キョンは体が小さくジャンプ力が高いのも特徴で、わずかな隙間から侵入したり、低めの柵を軽々と飛び越えてしまうので、こうした身体能力の高さも被害が広がる一因となっているのです。
オスとメスで異なる行動範囲
キョンは見た目だけではなく、オスとメスで行動範囲に大きな違いがあります。
一般的にオスの方が人い縄張りを持ち、メスは比較的狭い範囲で生活する傾向があります。
また、オスは繁殖期になると、より広い範囲を移動しながらメスを探すため、行動圏が大きく広がり、メスは、餌場や身を隠せる場所の近くを中心に過ごすことが多く、行動範囲が狭く安定しています。
この違いから
- オスは広い地域に出没しやすい
- メスは特定エリアに定着しやすく、子どもを産みながらその地域で増えやすい
といった特徴があり、地域でキョンが増えてしまう背景にも繋がっています。
キョンはどこに生息しているの?国内で急増している地域も
キョンは本来、中国南部や台湾などに生息していた動物ですが、日本では外来種として定着しています。
国内では、主に伊豆半島(東京都)と千葉県に放りがっており、近年はちばけんを中心に生息域が急速に拡大しています。
伊豆半島では、過去に観賞用として持ち込まれた個体が逃げ出し、県内で一気に繁殖。
千葉県でも同様に、施設から逃げた個体が野生化し、現在では住宅街や畑、ゴルフ場など、さまざまな場所で、姿が確認されています。
また、キョンは環境適応能力が高く、人の生活圏にも入りやすいため、一度定着した地域では駆除や管理が追いつかないほど増え続けているのが現状です。
今後、生息範囲がさらに広がる可能性も指摘されています。
特定外来生物とは?
特定外来生物とは、日本の生態系や農林業、人の生活に被害を与える恐れがある外来生物のうち、法律で特に規制が必要とされた種のことを指します。
「外来生物法(正式名称:外来生物による生態系等に係る被害の防止に関する法律)」に基づき、指定された生物は
勝手に飼育・運搬・販売・野外に放すことが禁止されており、違反すると罰則が科されます。
キョンによる被害の実態とは?

見た目こそ小型で可愛らしいものの、定着した地域では農作物や自然環境、そして住宅地にまでさまざまな被害をもたらしています。
千葉県や伊豆半島では、増加する個体に対して対策が追いつかない状況も見られ、年々深刻度が増しているのが現状です。
ここでは、具体的にどのような被害が起きているのか、分野ごとに詳しく見ていきます。
農作物・家庭菜園への食害
千葉県や伊豆大島では、キョンによる農作物被害が深刻化しています。
被害品目としては、ナス科・イモ類・豆類・野菜類・樹木・樹木の新芽など、柔らかい部位を中心に多岐に渡り、
例として伊豆大島では「アシタバ」「ツバキの新芽」「キュウリ」などが被害にあっており、農家からの被害報告が増加しています。
特に、キョンは体が小さく、わずかな隙間から侵入して食い荒らすため、家庭菜園でも同様の被害が相次いでいます。
被害額はイノシシなどと比べれば小さいとされるものの、近年は増加傾向にあります。
生態系・自然環境への影響
キョンは在来種であるニホンジカと食糧をめぐって競合する可能性が指摘されています。
さらにニホンジカが避ける植物(アリドオシ等)を積極的に食べるため、植生が大きく変化し、新芽が再生しにくくなるといった影響も報告されています。
こうした食害の積み重ねにより、希少植物が消失するリスクが高まり、伊豆大島ではすでに特定の在来植物への深刻な影響が確認されていて、自然環境への長期的なバランスが崩れる可能性があるとして、各自治体が警戒を強めています。
生活環境への被害
農地や山林だけでなく、キョンは住宅地にも頻繁に出没するようになっていて、
とくに房総半島や伊豆大島では、住民から以下のような被害報告が増えています。
フンの放置による衛生被害
キョンは行動範囲が広く、住宅地を「通り道」にすることもあります。
その際に落とすフンが、
- 室外機周辺
- 駐車場
- 玄関アプローチ
- 花壇の中
などに残され、悪臭や見た目の不快感につながります。
夜間の“悲鳴のような鳴き声”による騒音
キョンは繁殖期には甲高い声で鳴くことがあります。
これが “人の悲鳴のように聞こえる” と言われており、
「夜中に突然鳴かれて眠れない」 という声も多い住宅地の被害です。
道路への飛び出し・交通事故リスク
キョンは警戒心が強く、車のライトに驚いて急に飛び出すことがあります。
暗い住宅街では、
- 衝突事故
- 車の破損
- 二次事故
につながる危険性もあります。
キョンの駆除・対策

キョンは体が小さく、さらにジャンプ力も高いため、一般的なフェンスや柵では侵入を完全に防ぐことが難しい動物です。
定着した地域では、農作物や家庭菜園、庭木にまで被害が及ぶケースも多く、効果的な対策には複数の方法を組み合わせることが不可欠です。
ここでは、家庭でも取り入れやすい対策から行政が主導する方法まで、代表的なポイントを紹介します。
物理的な対策
まず、重要なのが物理的な対策です。
1.5m以上の高さがある柵やネットを設置することで、キョンの侵入をある程度防ぐことができます。
ただし、体が小さいためフェンスの隙間や角のわずかな空間からも入り込むため、こうした部分の補強も欠かせません。
合わせて、市販の動物忌避剤や匂いのする粒剤を庭の周囲に設置しておくと、被害軽減につながります。
自治体に相談する
しかし、物理的な対策だけでは限界があります。
キョンは特定外来生物に指定されているため、個人が勝手に捕獲することは法律で禁止されています。
捕獲や駆除は自治体や許可を受けた専門業者のみが行えるため、被害が深刻な場合は必ず行政に相談し、適切な手続きを踏んだ上で対応してもらう必要があります。
日常的な環境管理
さらに、日常的な環境管理も効果的です。
庭先にキョンが好む食べ物を置かないようにするほか、落ち葉や果樹の残りを放置せず、周囲を清掃しておくことで、敷地に近づく理由を減らすことができます。
また、農作物や新芽にはネットをかけるなど、植物を守る対策も有効です。

このように
物理的対策×行政の協力×環境管理を組み合わせることで、キョンによる被害を最小限に抑えることができます。
Q&A|キョンに関するよくある質問

-
キョンを見かけたらどうすればいいですか?
-
近づかず、まずは自治体に相談してください。
キョンは「特定外来生物」に指定されているため、許可のない捕獲・飼育・移動は法律で禁止されています。
安全確保のためにも、自力で追い払ったり捕獲しようとせず、自治体へ報告することが大切です。
-
キョンは人に危害を加えることがありますか?
-
基本的には臆病な動物で人に近づくことは少ないですが、追い詰められた際や繁殖期のオスは威嚇することがあります。
牙(犬歯)が鋭く、突進してくる可能性もあるため、むやみに近寄らないよう注意が必要です。
-
キョンのフンや足跡で見分けられますか?
-
フンは小さな“シカの粒状フン”と似ていますが、個体差があり判断が難しいこともあります。
足跡は「二つの割れたひづめ跡(偶蹄目)」が特徴ですが、ニホンジカやイノシシと混同するケースも多いです。
確実に判断するには 専門業者の現地調査 が推奨されます。
-
家庭でできるキョン対策はありますか?
-
はい、以下の対策が効果的です。
- 庭の草刈り・整備をこまめに行う
- 落ち葉・果実を放置しない
- 目合い5cm以下の防護ネットを設置
- 電気柵を導入(広めの土地の場合)
- 家庭菜園は地面に隙間のない防護柵で囲う
ただし、侵入ルートの特定や再発防止はプロでないと難しいため、被害が続く場合は専門業者へ相談してください。
まとめ

キョンは、普段あまり見慣れない動物ですが、住宅の庭や家庭菜園を荒らしてしまう“困った害獣”になることもあります。
特に繁殖力が高いことから、一度姿を見せ始めると被害が続くケースも少なくありません。
少しでも
「植物が急に食べられた」
「夜に変な鳴き声がした」
など気になる点があれば、早めに専門家へ相談しましょう。
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