【2025年最新版】リフォーム補助金申請の“落とし穴”とは?使うべき・使わないべき工事を事例を用いて徹底解説!

この記事はこんな方におすすめです!
  • リフォームの補助金について知りたい
  • 補助金を使用するか検討している
  • リフォームの補助金について知りたい

住宅リフォームには、国や自治体が出しているさまざまな補助金があります。
補助金を利用できるなら利用したい!」という方がほとんどなのではないでしょうか。

しかし、申請準備や手続きにかかる時間や手間を考えると、実際にはあまりお得にならなかったり、かえって損をしてしまうケースもあります。

受けられる補助額にだけ目を向けるのではなく、申請にかかる時間と手間(=時間コスト)にも目を向けることが非常に重要です

本記事では、「使った方がいい場合」「使わない方がいい場合」を具体的な事例ごとに、金額をシミュレーションしながら解説していきます。ぜひご参考ください。

なお、以下のシミュレーションでは、代行業者を使わず、申請者本人が書類作成から提出まで行う前提で計算しています。

ここに注目
  • 申請に要する「時間コスト」
  • 申請の手間に見合う「純節約額」

以下は屋根修理工事の補助金についてまとめた記事です。屋根工事をご検討中の方はぜひご参考ください!

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目次

補助金は使うべき!?4つの判断ポイント!!

ここでは補助金が「お得になるか」「利用すべきか」を判断する4つのポイントを紹介していきます。

  • 工事規模(費用)と補助率
  • 申請にかかる手間
  • 実費
  • 交付決定までの期間

工事規模(費用)と補助率

小規模工事の補助金は補助割合が低いことが多く、手間に見合わない場合が多くあります

補助事業によって全く異なるため、事業概要を必ず確認しましょう
補助金の募集概要で補助割合を確認したうえで、見積もりを行い、申請するかどうかを検討しましょう。

50万円以上の大規模な工事ならメリットが大きいことが多いので申請を検討することをおすすめします。(補助金事業による)

申請にかかる手間

申請には役所に行って手続きしたり、書類を作成・印刷したりと、累計で最低でも8時間程度時間を取られると考えておきましょう。

書類作成(約3時間)

必要書類の用意・コピー、申請書記入など

申請手続き(約5時間)

役所での手続き・移動

計8時間はかかると考えたほうが

※かかる時間はお客様によって大きく変わります。

しかし特に役所に訪問する場合、遠かったり混んでいたりすると半日が潰れてしまうこともあるため、これより多くの時間を取られてしまう可能性があることを留意しておきましょう。

近年では役所に行かなくてもオンラインで書類を提出できる市区町村もありますので、その場合は手間を大きく削減できる場合があります。詳細は事業のホームページをご確認ください

時間単価で考える

時間はタダではありません。特定の作業を行うためにかかるコストは「時間単価×時間」で決まるとされています。

本記事では一人当たりの時間単価は「2,500円」と定義します。

つまり申請にかかる時間コストは「8h×2,500円=20,000円

と定義し、これを加味した上で補助金が得かどうかをお話ししていきます。

交付決定までの期間

補助金を利用する場合、すぐに工事を始めるのはほぼ不可能と言えます

ほとんどの場合、事前調査〜交付決定まで1~2ヶ月かかります。
緊急の修理や迅速に修理したい場合は工事開始まで時間を要することを必ず留意しておきましょう!

補助事業によって全く異なるため、事業概要を必ず確認しましょう

実費

申請のために必要な「印紙コピー証明書発行等」おおむね3,000円程度かかります。

補助金を使った方がいい場合の4つの事例を紹介!

ここでは使用すれば大きな恩恵を受けることができる補助金の例を紹介していきます。

ここで紹介しているのは主に大規模修理です。
その中でも特に国が主導している補助金や省エネ・災害対策を目的としている補助金は国が推奨していることからも補助率が高いため恩恵も大きく、利用することをおすすめします。

事例① 屋根の耐風改修工事(千葉市)

制度名瓦屋根耐風診断・耐風改修補助制度(千葉市)
補助内容工事費または(屋根面積×24,000円)のいずれか低い額の23%(上限552,000円)
想定条件耐風改修費:1,200,000円
申請時間:8時間(時間コスト20,000円)
実費:3,000円
補助額1,200,000円×23%=276,000円
純節約額276,000円 − (20,000円+3,000円)=253,000円
参考HP住宅の瓦屋根耐風診断・耐風改修補助制度-千葉市

耐風改修工事は災害対策のため、高い補助金が出ます。

工事費の23%の補助金が出ることに加え、耐風改修工事は高額なものが多いため大きな恩恵を受けることができることができます。
労力はかかりますが必ず補助金を受けましょう。

事例② 屋根葺き替え工事(国交省)

制度名長期優良住宅化リフォーム推進事業(国土交通省)
補助内容対象費用の1/3を補助(限度額 80万円/戸、認定制度利用で160万円/戸)
想定条件屋根葺き替え費:1,500,000円
申請時間:8時間(時間コスト20,000円)
実費:3,000円
補助額1,500,000円×1/3=500,000円
純節約額500,000円 − (20,000円+3,000円)=477,000円
参考HP令和6年度 長期優良住宅化リフォーム推進事業

国が主導している「長期優良住宅化リフォーム推進事業」は既存住宅を〈耐震省エネ劣化対策〉の視点から国の基準まで底上げすることを目的としている補助事業です。

対象になるリフォーム工事は高額であることが多く工事費の3分の1(33%)という高額な補助割合なので150万円の工事だと50万円という高額なお金を受け取ることができます。
対象の工事を受ける場合必ず補助を受けましょう。

事例③ 窓のカバー工法(国)

制度名先進的窓リノベ事業(環境省・経産省・国交省)
補助内容窓の性能・大きさにより異なる
想定条件外窓交換(カバー工法):250,000 円
(性能:S、大きさ:中)
申請時間:8時間(時間コスト20,000円)
実費:3,000円
補助額110,000円
純節約額110,000円 − (20,000円+3,000円)=87,000
参考HP先進的窓リノベ2025事業

先進的窓リノベ事業は断熱窓への改修促進等による住宅の省エネ・省CO2加速化支援事業を目的としており、窓の断熱機能向上を目的としたガラス交換や窓交換を行う際に補助をする事業です。

こちらは窓の大きさや性能によって補助額が大きく異なりますので、取り替えたい窓の大きさの把握取り付けたい窓の性能を決定した上で、概要をしっかり読み込んで、補助金を利用するかを決めることをおすすめしましょう。

事例④ 太陽光発電システム設置(千葉県)

制度名住宅用太陽光発電設備等共同購入支援事業(千葉県)
補助内容工事費の15%(太陽光パネル単体の場合)
想定条件太陽光パネル設置費:1,500,000円
申請時間:8時間(時間コスト20,000円)
実費:3,000円
補助額1,500,000円×15%=225,000円
純節約額225,000円 − (20,000円+3,000円)=202,000円
参考HP太陽光発電設備等共同購入支援事業【住宅用】

こちらは千葉県を例に出しましたが、多くの都道府県で太陽光発電に関する補助金制度があります。

国が太陽光発電設置を推奨しているため、補助割合も非常に高く、なおかつ非常に高額な工事になるため必ず補助を利用するようにしましょう


補助金を使わない方がいい3つの事例を紹介!

ここでは、労力の割にそこまで大きな恩恵を受けることができない補助金の例を紹介していきます。

ここで紹介しているのは主に小〜中規模工事です。
特に市区町村が主導している小〜中規模工事の補助金事業は、「補助金を使った方がいい場合の事例」で紹介したような大規模工事と比べ、

  • 補助率が低い
  • 費用が安価
  • 申請にかかる労力が変わらない

ことから労力に見合った恩恵を受けれず、時間コストを考えると損してしまう補助事業もあります

補助金という名前がついている以上、時間コストを考えない場合は基本的にお得ではありますので、ご自身で判断して補助金を受け取るか判断しましょう。

事例① 窓の二重ガラス化

制度名住宅エコリフォーム補助制度(札幌市)
補助内容改修費用の10%(上限50万円)
想定条件窓改修工事費:200,000円
申請時間:8時間(時間コスト20,000円)
実費:3,000円
補助額200,000円×10%=20,000円
純節約額20,000円 − (20,000円+3,000円)=-3000円
参考HP札幌市住宅エコリフォーム補助制度

この札幌の補助金は補助割合が10%と少なくなっています。
このように補助割合が少ない制度の場合、小規模工事では恩恵をほとんど受けれません

もし時間コストを考えない場合は、実費を考慮しても1.7万円ほどもらえることができるため、お得に感じると思います。しかし時間コストを考えると-3000円と実質損してしまうという計算になります。

20,000円を受け取ることはできますが、時間コストを考えたうえで、労力に見合っているかどうかはご自身で判断しましょう

事例② 手すり設置

制度名福岡市住宅改造助成
補助内容工事費の10%(上限200,000円)
想定条件バリアフリー手すり設置費:120,000円
申請時間:8時間(時間コスト20,000円)
実費:3,000円
補助額120,000円×10%=12,000円
純節約額12,000円 − (20,000円+3,000円)=-11.000円
参考HP福岡市住宅改造助成

札幌と同様に補助割合が10%と少なくなっています。
一部しか行わない、バリアフリーの小規模工事では恩恵をほとんど受けれません。

もし時間コストを考えない場合は、実費を考慮しても9,000円ほど受け取れますが、時間コストを考えると-11,000円大きく損してしまうので、補助金制度を受けるかもう一度考えてみましょう。

労力に対する成果が少なすぎると感じる方がほとんどだと思います。

事例③ トイレ便器交換

制度名川崎市住まい助成制度
補助内容工事費の10%(上限100,000円)
想定条件トイレ便器交換費:250,000円
申請時間:8時間(時間コスト20,000円)
実費:3,000円
補助額250,000円×10%=25,000円
純節約額25,000円 − (20,000円+3,000円)=2.000円
参考HP川崎市住まい助成制度

川崎市も事例①と②と同様、補助割合が10%と少なくなっています。
250,000円という一般的に高額な工事ですが、補助割合が少ないため、時間コストを考えると恩恵は実質2,000円と、手間と全く見合っていません。

時間コストを考えないと22,000円ほど受け取れますが、時間コストを鑑みて補助金制度を受けるかもう一度考えてみましょう

補助金を申請する前に!

ホームページ(資料)をしっかり読み込もう!

補助金事業にはほとんどの場合、事業概要が記載されたホームページや資料があります。
予算や期間、補助金対象や条件が記載されているほか、補助割合や補助金額が書かれていますので、必ず確認しましょう。

ご自身が予定している工事内容で補助金を申し込んだ場合「どのくらい得なのか」「労力に見合ったお金がもらえるか」を必ず確認しましょう

また交付決定までの期間も記載されていることが多いですので、工事までどのくらいの時間を要するのかが気になる方は必ずチェックしておきましょう。

まとめ

補助金を活用すると必ずお得になるというわけではないことがわかっていただけましたでしょうか。

非常に労力がかかる補助金の手続きですが、特に小規模な工事になると「工事費用が安い×補助率が低い」ことが多いことから、労力に見合った恩恵を受けることができないことがあります。

補助金を受けることで損することはありませんが、時間コストを考えると「実質損」することもありますので、本記事で紹介した考え方を参考に補助金を受けるかどうか検討してみてください


以下は屋根修理工事の補助金についてまとめた記事です。屋根工事をご検討中の方はぜひご参考ください!

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山田 太郎

この記事の作成者

鈴木 北斗

ROY株式会社 元現場営業

ROY株式会社で現場営業として従事してきました。実際の工事を数多く経験してきたからこそわかる「現場のリアル」や「本当に必要な情報」を、できるだけわかりやすく丁寧にお伝えしています。現在はWEB担当として記事の執筆・監修を行いながら、お客様が安心して工事を任せられるような情報提供を心がけています。お困りごとや気になることがあれば、ぜひお気軽にご相談ください。

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