
地震への備えというと、家具の固定や非常用品の準備を思い浮かべる方が多いかもしれません。
しかし、戸建て住宅で忘れてはいけないのが、建物全体を支えている「基礎」の状態を確認することです。
住宅の基礎に、
- ひび割れがある
- コンクリートが欠けている
- サビ汁が出ている
- 鉄筋が見えている
- 基礎周辺が沈んでいるといった症状があっても「古い家だから仕方ない」とそのままにしているケースがあります。
もちろん、基礎にひび割れがあるからといって、すぐに地震で倒壊するわけではありません。
住宅の耐震性は、基礎だけでなく柱・梁・耐力壁・屋根・接合部・建物全体の劣化状況などを含めて総合的に判断する必要があります。
一方で、基礎は住宅から伝わる力を地盤へ受け渡す重要な部分です。
地震が起きてから異常に気づくのではなく、地震への備えとして日頃から基礎の劣化を確認しておくことが大切です。
この記事では、住宅の総合リフォームを行う専門業者の視点から、地震と住宅基礎の関係、注意したいひび割れや劣化のサイン、自分でできる点検方法、補修や耐震診断を検討した方がよいケースまで詳しく解説します。

住宅の基礎には、建物を支え、柱や壁などから伝わる力を地盤へ伝える役割があります。
地震では建物に横方向の大きな力が加わるため、住宅全体が揺れます。
そのとき、
屋根・壁・柱
↓
土台
↓
基礎
↓
地盤というように、建物の各部分が関係しながら地震の力を受けます。
そのため基礎に著しい劣化や損傷がある場合は、基礎だけを見るのではなく、住宅全体の状態を確認することが重要です。
国土交通省も耐震改修方法のひとつとして、基礎のひび割れ補修や、必要な場合には既存基礎へ鉄筋コンクリートを増し打ちする方法を紹介しています。
基礎のひび割れ=地震で危険とは限らない
住宅基礎にひび割れを見つけると「この家は地震が来たら危ないのでは?」と心配になる方もいるでしょう。
しかし、ひび割れはすべて同じではありません。
コンクリートは乾燥収縮などによって細かなひび割れが生じることもあり、表面的なひび割れだからといって、直ちに構造上大きな問題があるとは限りません。
重要なのは、
- ひび割れの幅
- 長さ
- 深さ
- 本数
- 方向
- サビ汁の有無
- 基礎全体の状態などを確認することです。
「ひびがあるか、ないか」だけで判断しないことがポイントです。
地震前に確認したい住宅基礎の劣化サイン
基礎に幅のあるひび割れがある
髪の毛のような細いひびと比べ、幅が広いひび割れは状態確認をおすすめします。
国土交通省が公開している住宅の現況検査資料でも、基礎について幅0.5mm以上のひび割れが劣化事象の確認項目のひとつになっています。
ただし、0.5mm未満なら絶対に問題がないという意味ではありません。
ひび割れの位置や方向、深さ、周辺の状態を含めて判断します。
斜め方向に伸びるひび割れ
基礎の一部分から斜め方向へ大きく伸びているひび割れも確認したい症状です。
特に、
- ひびが長い
- 上から下まで続いている
- 周辺にも複数のひびがある
- 建物の傾きを感じるといった症状が重なっている場合は、専門業者に確認してもらうと安心です。
同じ面にひび割れが複数ある
地震後のチェックについて、国土交通省でも木造住宅の基礎に幅0.3mm以上を目安とするひび割れが3か所以上あるかを確認項目として紹介しています。
これは地震後の安全チェックで使われる目安ですが、平常時でも「以前よりひびが増えている」「同じ面に何本もある」という場合は、一度状態を確認するきっかけになります。
コンクリートが欠けている
基礎の角や表面が大きく欠けている場合も注意しましょう。
国土交通省の現況検査資料では、深さ20mm以上の欠損も確認項目とされています。
基礎の欠損は、
- 衝撃
- 経年劣化
- 内部鉄筋の腐食
- 水分の影響など、さまざまな原因で起こる可能性があります。
欠けている部分が大きい場合は、表面だけ埋めるのではなく、原因を確認することが重要です。
サビ汁が出ている
基礎のひび割れや欠損部分から、茶色や赤茶色の筋が出ている場合は注意してください。
これは内部の鉄筋が腐食し、そのサビが水分と一緒に表面へ出ている可能性があります。
国土交通省の現況検査項目でも、サビ汁を伴うひび割れ・欠損が基礎の劣化事象として挙げられています。
鉄筋が露出している
コンクリートが大きく欠け、内部の鉄筋が見えている場合は、早めに専門業者へ相談しましょう。
鉄筋が露出すると水分や空気に触れやすくなり、腐食が進む可能性があります。
これも国土交通省の現況検査で確認対象となっている症状です。
基礎だけでなく家全体を見ることが重要
地震対策の記事で特に重要なのがここです。
基礎だけ補修すれば、住宅の耐震性が必ず向上するとは限りません。
住宅の耐震性能は、
- 基礎
- 柱
- 梁
- 筋かい
- 耐力壁
- 接合金物
- 屋根の重量
- 建物の形
- 劣化状況などの組み合わせによって決まります。
国土交通省も耐震診断について、基礎だけではなく屋根・壁・柱、床下・天井裏などを確認して住宅全体の耐震性能を評価するとしています。
「基礎のひび割れを埋めたから地震対策は完了」と考えるのではなく、必要に応じて耐震診断まで行うことが大切です。
| チェック | 確認するポイント | 確認の目安 |
|---|---|---|
| 新しいひび割れ | 以前はなかったひび割れが発生していないか確認する | |
| ひび割れの長さ | 以前より長くなったり、広がったりしていないか確認する | |
| 複数のひび割れ | 同じ面や住宅外周の複数箇所にひび割れがないか確認する | |
| コンクリートの欠け | 基礎表面や角が欠けたり、剥がれたりしていないか確認する | |
| サビ汁 | ひび割れや欠損部分から赤茶色の跡が出ていないか確認する | |
| 鉄筋の露出 | コンクリート内部の鉄筋が見えていないか確認する | |
| 基礎周辺の地面 | 地面の沈下や大きな隙間、土の流出がないか確認する | |
| 床下通気口周辺 | 格子・周辺コンクリートの破損やひび割れがないか確認する |
ひび割れを見つけたら、場所と日付がわかるように写真を残しておきましょう。 数か月後に同じ場所を撮影すると、ひび割れが長くなったり広がったりしていないか比較しやすくなります。
基礎以外にもこんな症状がある場合は要注意
基礎のひび割れに加えて、住宅内部でも異常を感じる場合は、建物全体を確認した方がよいでしょう。

例えば、
- 床が傾いているように感じる
- ボールなどを床に置くと転がる
- ドアや窓が急に閉まりにくくなった
- 外壁にも大きなひび割れがある
- 柱や壁に傾きを感じるといった症状です。

平常時でも、複数の異常が同時に出ている場合は、専門家へ相談するきっかけになります。
基礎のひび割れはどう補修する?
補修方法は、ひび割れの原因や状態によって変わります。
表面的なひび割れの補修

構造的な問題がなく、比較的軽微なひび割れであれば、
- 樹脂系材料
- シーリング材
- 補修モルタルなどを使用して補修する場合があります。
ただし、原因を確認せず表面だけ埋めると、再びひび割れが現れることがあります。
樹脂注入

ある程度深さのあるひび割れでは、エポキシ樹脂などを注入して補修する方法があります。
ひび割れ内部まで材料を充填することで、状態に応じた補修を行います。
欠損部分の断面修復

コンクリートが欠けている場合は、劣化部分を処理してから補修材で形を復旧します。
内部鉄筋にサビがある場合は、鉄筋の状態を確認したうえで適切な処理が必要です。
基礎の補強
既存基礎の強度が不足していると判断された場合には、基礎そのものを補強する方法もあります。
よく耐震改修の例として既存基礎に鉄筋コンクリートを増し打ちし、基礎を補強する方法を紹介しています。
ただし、これは単なるひび割れ補修とは異なり、耐震診断や設計に基づいて行う工事です。
「基礎補修」と「耐震補強」は同じではない
ここは混同されやすいポイントです。
基礎補修は、ひび割れ・欠損・劣化などを修復する工事です。
一方、耐震補強は、建物の耐震性能そのものを高めるために行います。
例えば、
- 耐力壁を増やす
- 筋かいを追加する
- 接合金物を補強する
- 屋根を軽量化する
- 基礎を補強するなどを組み合わせて行います。
そのため基礎のひび割れを直すこと=住宅全体の耐震補強ではないことを覚えておきましょう。
こんな住宅は耐震診断も検討
次のような住宅では、基礎点検だけでなく耐震診断も検討してみましょう。
- 基礎に複数のひび割れがある
- 基礎に大きな欠損がある
- サビ汁・鉄筋露出がある
- 床や建物に傾きを感じる
- 大きな地震を経験している
- 築年数が経っている
- 増改築を繰り返している
- 過去の耐震診断を受けたことがない
耐震診断では、建築士などが住宅の状態を調べ、地震に対する強さを評価します。
地震後に基礎を確認するときの注意点
大きな地震が発生したあとも、基礎は重要な確認ポイントです。
国土交通省は木造住宅の地震後チェックとして、
- 基礎の大きな損傷
- 複数のひび割れ
- 建物の傾き
- 窓の開閉不良などを確認する方法を公開しています。
※ただし大きな揺れのあとに建物が明らかに傾いている・柱が折れている・外壁が大きく外れているといった場合は、自分で建物内部へ入って確認しようとせず自治体や専門家の案内に従ってください。
基礎点検を専門業者へ依頼するメリット
- ひび割れの状態を詳しく確認できる
- 自分で見ると、「ひび割れている」ところまでしか判断できないことがあります。
専門業者なら、
・幅
・深さ
・長さ
・方向
・発生位置
・サビ汁
・欠損などを確認し、補修が必要か判断できます。

- 床下側からも確認できる
- 基礎は外側だけではありません。
床下から見ることで、基礎内部のひび割れ・土台・木部の状態・金物・シロアリ被害・湿気など、外からでは見えない異常が見つかる場合があります。

- 補修だけでいいのか耐震診断が必要なのか判断できる
- 基礎に小さなひび割れが1本ある住宅と、基礎全体に複数のひび割れや傾きがある住宅では、必要な対応が異なります。
専門家に確認してもらうことで、
補修で対応できる状態なのか
↓
詳しい調査が必要なのか
↓
耐震診断まで行った方がよいのかを判断しやすくなります。

地震に備えた住宅点検はROY株式会社へ

地震への備えは、家具の固定や防災用品だけではありません。
住宅そのものに劣化がないか確認しておくことも、大切な地震対策のひとつです。
特に基礎にひび割れ・欠損・サビ汁・鉄筋露出などがある場合は、現在の状態を一度確認しておくと安心です。
ROY株式会社は住宅の総合サービスに対応しているため、
- 基礎
- 床下
- 外壁
- 屋根
- 木部
- 住宅設備など、基礎だけではなく住宅全体の状態を確認できることが強みです。
基礎のひび割れについても、
状態確認→原因の確認→必要な補修方法の判断→周辺部材の点検まで住宅全体の視点から対応できます。

基礎のひび割れが地震に影響しないか心配

「築年数が経っているので一度住宅を点検したい、補修だけでよいのか耐震診断まで必要なのかわからない」
地震と住宅基礎に関するQ&A
- 基礎にひび割れがあると地震で倒壊しますか?
-
ひび割れがあるだけで倒壊すると判断することはできません。
ひび割れの状態だけでなく、壁・柱・接合部・建物の劣化などを含めて総合的に確認する必要があります。
- 細いひび割れなら放置して大丈夫?
-
軽微なひび割れの場合もありますが、幅だけで判断するのはおすすめできません。
長く伸びている、複数ある、広がっている、サビ汁を伴う場合などは専門業者へ相談してください。
- 基礎のひび割れを埋めれば地震対策になりますか?
-
ひび割れ補修と耐震補強は別です。
補修で劣化部分を修復できても、住宅全体の耐震性能が十分とは限りません。
- 地震が起きていなくても耐震診断できますか?
-
できます。
大きな地震が発生する前に住宅の耐震性能を把握し、必要な補強を検討することが耐震診断の目的のひとつです。
