悪質な業者による「点検商法」について専門業者が解説します!!

- 怪しい業者の契約をしてしまった
- 工事の金額が思ったより高かった
- 急に「〇〇が危ない状況ですよ!」と業者らしき人に言われた
- 悪質な業者から点検商法の被害に遭わないか不安
- 家族を悪質業者の点検商法から守りたい
点検商法とは?

「点検商法」とは何かご存知でしょうか?
悪質な業者が突然自宅を訪問し、正規の専門業者のフリをして「無料で点検します」と持ちかけてきます。
そして「屋根が危険な状態」「外壁にひび割れがある」「このまま放置すると大変なことになる」と言葉巧みに人を欺き、不安を煽ることで、不必要な工事の契約を結ばせたり、法外な値段の工事の契約を結んできます。
このような手口を「点検商法」と言います。
訪問した業者は、屋根や外壁、床下、配管など一般の人が簡単に確認できない場所を点検します。
一度不安になると、適切な判断ができなくなり、結果として不要な工事や高額な修繕工事の契約を結んでしまうケースが多く報告されています。
特に高齢者の被害が多発しており、最初に親身に接することで「この人はいい人だ」と思わせることで、より契約をとりやすい状況を作るという、人の良心を踏みにじる最悪な方法で悪事を働きます。
警視庁や自治体の警告

警視庁や各自治体では、訪問販売を装った悪質な点検商法が増えていることを警告しています。
特に高齢者世帯が狙われるケースが多く、判断力の低下を悪用して契約を結ばせる手口が横行しています。
「すぐに工事しないと危険」「特別価格で今だけ安くできる」などと急かす手法も多用されます。
このような手口に引っかからないためには、即決せず、まずは信頼できる第三者に相談することが重要 だと呼びかけられています。
▶ 参考: 警視庁公式サイト
事例:リフォーム会社「新日立建託」が行った点検商法のケース
ここでは、令和7年3月にニュースになった「リフォーム会社「新日立建託」が行った点検商法」のケースについて紹介いたします。
事件概要
- 発生場所 京都府や兵庫県を中心に発生
- 被害者数 約220人
- 被害総額 約2億8000万円
リフォーム会社「新日立建託」が京都府や兵庫県を中心に違法な勧誘を行っていたことが発覚し摘発されました。
この事件より実質的な経営者である斎藤大器容疑者が、特定商取引法違反の疑いで逮捕されています。
令和6年9月から11月にかけて、京都府内の住宅の修繕工事を勧誘する際に、「クーリングオフ(特定の取引において、一定の期間内であれば無条件で契約を解除できる制度)」について一切の説明をすることなく違法に契約させていたなどとして、「特定商取引法違反」の疑いが持たれていました。
被害者数は約220人にのぼり、売上は2億8000万円以上 に達するとみられています。
この事件では、被害者のほとんどが高齢者であり、強引な営業手法が使われていたことが問題視されています。
悪質な手口
業者は急にご自宅に押しかけてきて、「屋根の板金が外れかけています」「非常に危険な状態です」「次の雨や強風には耐えられませんよ」という発言をしたり、能登半島地震や南海トラフ地震を話題に出したりと、不安感や危機感を煽る発言を繰り返すことで、工事の契約を急がせていました。
最初に「最低でも20~30万円かかるが、もし問題がなければ点検は無料です」といった説明をして、信頼感を与えたうえで契約を迫る という巧妙な手法をとっていました。
斎藤容疑者は「トクリュウ(匿名・流動型犯罪グループ)」の代表でもありました。
SNSを利用して「高給バイト」と称し、20代を中心に約50人の勧誘員 を集めていました。
これは昨今問題になっている「闇バイト」であり、府警は「闇バイト」らを実行役とする「トクリュウ(匿名・流動型犯罪グループ)」による事件とみています。
法的な課題
実際、劣悪非道な行為をしていたのは確かですが、法的に重い罪に問うのが難しいといいます。
なぜなら工事自体は実際に行われていたからです。そのため「詐欺罪」の適用が難しく、適用された罪状は「特定商取引法違反(訪問販売時の虚偽説明)」のみでした。
訪問販売の規制があるにも関わらず、罰則が軽いため、業者が手口を変えて繰り返し悪質商法を行う可能性が指摘されています。そのため法改正を行わないと、同じ悪事を行う業者がどんどんと増えてしまう可能性が高いと専門家は話します。
この事件を受けて、今後どのように法改正が行われるかが注目されています。
被害に遭わないために対策しよう!

このような点検商法の被害に遭わないようにするために、どのようなことに気をつければ良いのでしょうか。
まず大切なのは焦らないことです。
不安を煽ることを言ってきますが、まずは冷静になって落ち着きましょう。
こう言った点検商法があるということを知っておき、疑いの目を持って冷静に対処することを心がけましょう。
ここからは4つの対策方法について解説していきます。
- 突然の訪問には応じないようにする
- 見積もりを複数業者に依頼する
- 高額な契約は家族や専門機関に相談する
- 高齢者宅の防犯対策を強化
突然の訪問には応じないようにしよう
知らない業者が突然訪問してきた場合は、その場で点検を許可しないようにしましょう。
また、気軽にドアを開けないことも大切になってきます。
悪質な業者は「近くで工事をしていて気になったので声をかけた」と話すことが多いですが、これは典型的な手口です。
しつこく勧誘された場合は、「必要ならこちらから連絡しますので名刺をポストに入れてください」とインターホン越しに伝えましょう。
それでも引き下がらない場合は、不審者として警察に連絡しましょう。
見積もりを複数業者に依頼しよう
こう言ったリフォーム工事において大切なのは、相見積もり(見積もりを複数業者に依頼する)ことです。
1社だけの提案を鵜呑みにせず、複数の業者に見積もりを依頼することで納得ができる工事を行うことができます。
「本日中に契約していただけると特別割引が適用されます」と急かされても、絶対にその場では契約しないようにしましょう。
信頼できる業者は、契約を無理に迫ることはなく、詳細な見積もりを提示してくれます。地元の工務店や自治体が紹介する業者を選ぶことで、トラブルのリスクを減らすことができます。
高額な契約は家族や専門機関に相談しよう
業者と2人きりで話していると、冷静な判断が難しくなることがあります。
不審な契約を迫られたら、すぐに家族や知人に相談する ようにしましょう。
また、消費生活センターの「消費者ホットライン 188(いやや)」に連絡すれば、専門家からアドバイスを受けることができます。
ひとりで決断せず、第三者の意見を聞くことが被害を防ぐための大きなポイントです。
▶ 消費者ホットライン: 188
高齢者宅の防犯対策を強化しよう

高齢者は悪質商法のターゲットになりやすいため、家族や周囲の人が注意を払うことが重要です。
高齢者のご家族がいる場合は、「これからは何か契約する時には絶対に連絡するように」と伝えておくことで一人で判断せずに済むのでおすすめです。
何かあった際の被害を防ぐために、防犯カメラを設置したり、音声応対付き・録画機能付きのインターホンを設置すると、しっかり証拠を残すことができるので、いざという時に役に立てることができます。
また、よくインターホンに「セールスお断り」のシールを貼るといいという話を聞きますが、実は逆効果です。
営業マン経験者からすると、ステッカーを貼っている家は「押しに弱い人・断れない人」が住んでるんだなと思われるからなんです。
そのためステッカーを貼ることは控えることをおすすめします。
もし契約してしまったらどうしたらいいの?

もし焦って法外な値段や不要な工事をしてしまった場合どうすれば良いでしょうか。
結果から言うと「すぐ行動に起こせば問題ありません!」
解決するためには以下の3点を行うことが大切になってきます。
- クーリングオフを利用する
- 消費者センターへ相談する
- 警察への相談も検討する
クーリングオフを利用する(一番大切!!!)
訪問販売で契約した場合、契約後8日以内なら無条件で解約できる という「クーリングオフ制度」があります。
このクーリングオフ制度を利用することが最も大切なことになってきます。
もし8日を過ぎた場合でも、まだ諦めないでください。契約の内容によっては解約できる場合があるため、すぐに消費者センターに相談することをおすすめします。
▶ 消費者ホットライン: 188
「契約してしまったからもう取り消せない」と思わず、まずはクーリングオフの制度を活用しましょう。
クーリングオフを行う際には、業者に電話ではなく、書面(はがき・内容証明郵便)で送ることで成立します。
クーリングオフについての詳細は以下のホームページをご参考ください。
▶ 参考: 警視庁ホームページ
▶ 参考: 独立行政法人 国民生活センター
消費者センターへ相談する
何か不安に感じたら、すぐに消費者センターに相談することが大切です。
全国どこからでも利用できる「消費者ホットライン 188(いやや)」に電話すると、最寄りの消費生活センターにつながります。
消費者センターでは、契約の内容を確認し、クーリングオフの方法や、法的措置の可能性についてアドバイスを受けられます。
業者がクーリングオフを拒否した場合や、強引な営業をされた場合も、迷わず消費者センターに報告しましょう。
▶ 消費者ホットライン: 188
▶ 消費者庁公式サイト: https://www.caa.go.jp/
警察への相談も検討する
業者の対応が悪質である場合や、しつこい訪問が続く場合は、警察に相談することも視野に入れましょう。
特に、高額な契約を結ばされた場合や、解約を拒否される場合は、「消費者被害」として警察に届け出ることが可能です。
困った時は警視庁が提供する「悪質商法110番」などの専用窓口も役立てることをおすすめします。
▶警視庁相談窓口: https://www.keishicho.metro.tokyo.lg.jp/jiken_jiko/110/110_9110.html
もし契約してしまったらどうしたらいい?・まとめ
- 点検商法の被害に遭ってしまった場合は、まずクーリングオフの適用を検討する。
- 契約後8日以内なら無条件で解約できるため、すぐに書面で通知することが重要。
- 契約トラブルの相談は 消費者ホットライン「188(いやや)」 へ連絡。
- 悪質なケースでは、警察や消費者センターに報告する。
▶消費者ホットライン: 188(いやや)
▶消費者庁公式サイト: https://www.caa.go.jp/
▶警視庁相談窓口: https://www.keishicho.metro.tokyo.lg.jp/jiken_jiko/110/110_9110.html
点検商法の記事まとめ
本記事では点検商法についての基本情報や事例、対策方法、契約してしまった場合の対処法について紹介しました。
以下に重要なことをまとめておきましたので、必ず意識しておきましょう。
- 点検商法は、突然訪問し、不安を煽って高額契約を迫る悪質な手口。
- 最近の事件でも多くの被害が報告されており、特に高齢者が狙われやすい。
- 「知らない業者を家に入れない」「契約は即決しない」「第三者に相談する」 ことが被害防止の鍵。
- もし契約してしまった場合でも、クーリングオフを活用し、消費者センターに相談を!
点検商法は人の良心を踏みにじり、お金を騙し取ろうとする最悪で許せない詐欺です。
このような点検商法は紹介した事例の悪質業者以外にも多くの業者が行なっていると考えられます。
本記事で紹介したことを参考にして、そんな悪質な業者に騙されないように気をつけましょう。